ワイナーの帰属理論をわかりやすく解説

成功と失敗の原因をどう説明するかが、その後の感情とモチベーションを左右します。その仕組みを解説します。

所在(Locus)

成功や失敗の原因が自分の内部にあるか(能力、努力)、外部にあるか(課題の難易度、運)を区別する次元です。原因を内部に帰属させると、誇りや恥のような自己に関わる感情が強まりやすいとされています。

安定性(Stability)

原因が時間が経っても変わりにくいか(能力)、状況によって変わりうるか(努力、運)を区別する次元です。安定した原因で失敗を説明すると、今後も同じような結果が繰り返されると予期しやすくなり、無力感につながりやすいとされています。

統制可能性(Controllability)

その原因を自分の意志で調整できるか(努力)、できないか(能力、運、課題の難易度)を区別する次元です。統制可能な原因で失敗を説明するときは罪悪感を、統制不可能な原因で説明するときは同情や無力感に近い感情を抱きやすいとされています。

代表的な帰属要因:能力と努力

能力は内的・安定的・統制不可能な原因、努力は内的・不安定・統制可能な原因に分類される代表的な例です。同じ失敗でも「能力が足りないから」と考える場合と「努力が足りないから」と考える場合とで、その後のモチベーションの水準が大きく変わるとされています。

帰属と感情のつながり

帰属の仕方によって、誇り、恥、罪悪感、感謝、怒りなど、その後に生じる感情が変わるという概念です。例えば他者の助けによって成功したと考えると感謝を、他者の妨害によって失敗したと考えると怒りを感じやすいとされています。

ワイナーの帰属理論とは

心理学者バーナード・ワイナーが1970〜80年代に提唱した理論で、人が成功と失敗の原因をどう説明(帰属)するかが、その後の感情とモチベーションに影響を与えると説明します。教育心理学において学習動機を説明する代表的な理論として扱われ、それ以前の帰属理論を発展させたものでもあります。例えばロッターの統制の所在理論が主に内的統制傾向と外的統制傾向というひとつの軸(所在)で性格特性を説明したのに対し、ワイナーの帰属理論は所在に加えて安定性と統制可能性という2つの次元を追加し、特定の達成場面における原因の解釈とそれに伴う感情までを説明する、より拡張されたモデルとして扱われています。

学習性無力感との関係

失敗の原因を安定的で統制不可能な要因(例:生まれ持った能力不足)に繰り返し帰属させると、努力しても無駄だという認識が積み重なり、学習性無力感につながりやすいとされています。逆に努力不足のような不安定で統制可能な要因に帰属させると、再挑戦する意欲が維持されやすくなります。

よくある質問

帰属の仕方は変えることができますか?

「帰属再訓練(attribution retraining)」という概念があり、失敗の原因を能力不足ではなく努力や戦略の不足として再解釈できるよう助ける教育的介入が研究されてきました。

運で成功したと考えることは問題になりますか?

運は外的・不安定・統制不可能な原因に分類され、これが繰り返されると自分の成果に対する自信(効力感)を積み重ねにくいという限界があるとされています。