ストックオプションの行使と税金の基本

付与されたストックオプションを行使する前に、以下の基本を順番に確認しましょう。

ストックオプションとは何か

ストックオプションとは、従業員が将来のある時点で、あらかじめ決められた価格(権利行使価格)で自社株を購入できる「権利」であり、義務ではありません。スタートアップや成長企業は、高い現金報酬の代わりに人材を惹きつけ引き留めるためにこれを付与することが多く、株価が権利行使価格を上回って初めて実際の利益になります。

付与・べスティング・行使は別々のタイミング

オプションを付与された日にすぐ使えるわけではありません。多くの制度では一定期間在籍して初めて権利が確定(べスティング)し、その後も定められた行使期間内に権利行使価格を支払って実際に株式を購入する「行使」を行う必要があります。べスティング前に退職すると、未確定分のオプションは通常失効します。

行使時の課税:多くの場合は給与所得的に扱われる

多くの税制では、行使時点の株式の時価と権利行使価格の差額(スプレッド)は、給与などと合算される所得として課税対象になります。退職後に行使する場合など、雇用状況によって課税区分が変わる国もあります。

売却時の課税:別建てのキャピタルゲイン課税

株式を取得した後、行使時の価格からさらに値上がりして売却した際の追加の利益は、行使時に課税された所得税とは別に、一般的にキャピタルゲイン(譲渡益)課税の対象となります。上場株かどうか、保有期間の長さによって税率が変わることもあります。

優遇税制のあるプランを設けている国もある

スタートアップや中小企業向けに、行使時にかかる税金を軽減・繰延できる優遇プランを設けている国もあります。適用条件、上限額、保有期間の要件などは頻繁に変更され、国によっても異なるため、ネット上の具体的な数字は目安として扱い、必ず最新情報を確認しましょう。

ストックオプションの構造は一様ではない

行使時に新株を発行するタイプ(既存株主の持分が希薄化する)、会社が保有する自己株式を交付するタイプ、株式の代わりに差額を現金で支払うタイプなど、構造はさまざまです。付与契約書に明記された種類によって、行使手続き・税務処理・希薄化の程度が変わります。

退職を考えている場合

退職者には、確定済みのオプションを行使できる期間が短く(90日程度など)区切られていることが多く、この期限を過ぎると権利そのものが消滅する場合があります。退職を決める前に、べスティングスケジュールと退職後の行使期限を必ず確認しておきましょう。

税率や上限は国によって大きく異なるため必ず最新情報を確認

このページはストックオプションの仕組みと課税の一般的な考え方を説明するものであり、投資・税務アドバイスではなく一般的な教育情報です。正確な税率、非課税枠、課税繰延の条件、申告方法は国ごとに大きく異なり、税制改正のたびに変わります。実際に行使や申告を行う前には、必ずお住まいの国の税務当局または資格のある税理士に最新の基準を確認してください。

退職を考えているなら

退職を検討している場合は、退職届を出す前に、上記の税金の論点とあわせて、べスティングスケジュールと退職後の行使期限を整理しておく価値があります。期限直前の慌ただしい判断は、すでに確定していたオプションを失うことにつながりかねないため、時間に余裕を持って計画しましょう。

よくある質問

株式を売却しなくても、行使しただけで税金がかかりますか?

多くの国では、そうなる場合があります。行使時点での時価と権利行使価格の差額が、株式を売る前の段階で所得として課税されることがあり、株式を現金化する前に納税資金が必要になることもあります。行使前におおよその税額を見積もっておくとよいでしょう。

非上場のスタートアップのストックオプションも行使できますか?

はい、可能な場合が多いですが、非上場株式は上場株式より時価の算定が難しく、行使後も会社が上場や買収されるまで、実際に株式を現金化できる買い手が見つかりにくい点に注意が必要です。