スプリントベロシティとは:何を測っていて、どう使うべきか

スプリントベロシティは生産性のスコアのように聞こえますが、実際にはそれよりずっと狭く、そのぶん実用的なものを測っています。

ベロシティ:1スプリントで完了したストーリーポイントの合計、それ以上でもそれ以下でもない

ベロシティは、そのスプリント内でチームが実際に完了させた項目のストーリーポイントの合計にすぎません。着手しただけのポイントでも計画したポイントでもなく、チームの「完了の定義」を満たしたポイントだけをカウントします。これは万能な生産性指標ではなく、あくまで特定チームの過去の実績を表す数字です。

移動平均で通常のスプリント間のばらつきを平らにする

祝日、想定外の作業、メンバーの不在などによって、1回のスプリントだけのベロシティは大きく変動しうるため、1スプリントの数字だけで予測を立てるのは信頼できません。直近3〜6スプリントの平均を取ることで、チームの通常のペースをより安定して反映した数字が得られます。

ベロシティを使って残作業を予測する

バックログに残っているストーリーポイントの合計を平均ベロシティで割ると、完了までにあと何スプリント必要かのおおよその見積もりが得られます。大まかなスケジュールの会話には役立ちますが、正確な納期を約束するための数字ではありません。

異なるチーム同士でベロシティを比較することはできない

ストーリーポイントの大きさは相対的で、各チーム内部の基準に依存します。あるチームの「5ポイントのストーリー」と別のチームの「5ポイントのストーリー」の間に定まった関係はありません。あるチームのベロシティが高いからといって、そのチームが別のチームより速い、あるいは生産的だということにはなりません。

ベロシティを目標として扱うと逆効果になる理由

ベロシティを成果目標として扱い、数字が高いことを評価すると、実際の作業量を増やさずにポイントの見積もりだけを時間をかけて水増しするインセンティブがチームに生まれ、計画ツールとしての数字の有用性を静かに損ないます。ベロシティは過去を説明する数字として機能するのであり、達成すべき目標として扱うべきではありません。

新しいチームでベロシティがほぼゼロからスタートする理由

新しく結成されたチーム、あるいはメンバーが大きく入れ替わったチームには、まだ意味のあるベロシティの履歴がありません。この数字はその特定のメンバー同士がどう見積もり、どう実行するかに依存するためです。数値が予測に使えるほど安定するまでには、数スプリント分のばらつきの大きい信頼できないデータが出ることを見込んでおきましょう。

ベロシティとキャパシティの違い

ベロシティは過去の実績を表すアウトプット指標(完了したポイント)であるのに対し、キャパシティは今後の見通しを表すインプット指標(祝日・休暇・会議などを考慮した、来るスプリントで使える人時)です。健全なスプリント計画には両方を考慮する必要があります。過去のベロシティはおおむね通常のキャパシティを前提としていますが、直近の特定のスプリントが必ずしもそうとは限らないためです。

よくある質問

ベロシティは高ければ高いほど良いのですか?

それだけでは判断できません。ベロシティの上昇は本当に効率が改善している結果かもしれませんが、チームが見積もりを水増ししているだけの結果かもしれず、グラフ上では両者はまったく同じに見えます。ベロシティは単独の成功指標として読むのではなく、実際に届けられた成果と合わせて解釈するべきです。

ベロシティを信頼できるようになるまでに何スプリント分のデータが必要ですか?

メンバー構成や作業の種類が比較的安定している状態で、少なくとも3〜5スプリント分のデータが必要になるのが一般的です。データ数が少ないと、1つの異例なスプリントに数値が引っ張られすぎてしまいます。