スナイダーの自己モニタリング理論とは

どんな場でもその場に合わせて自分を変える人と、どんな場でも変わらない人。その違いを説明する理論です。

高セルフモニター

自分の置かれた社会的状況に合わせて、言動を積極的に調整する人です。周囲の空気や期待を敏感に読み取り、集団が変わっても柔軟に振る舞いを変え、自分がどう見られるかを意識的に管理するのが得意ですが、その一方で「本音が読めない」「一貫性がない」という印象を持たれることもあります。

低セルフモニター

状況が変わっても、自分の内面の態度や信念に沿って比較的一貫した行動を取る人です。その場の空気に合わせて表現を調整するよりも、実際に感じ考えていることをそのまま表す傾向があり、状況を問わず信頼できる一貫性がある一方で、場にそぐわない率直さが「空気が読めない」と受け取られたり、新しい社会的場面への適応に時間がかかったりすることがあります。

二択ではなく連続的な尺度

スナイダーは1974年、この傾向を測定するための自己モニタリング尺度(Self-Monitoring Scale)を開発しました。ほとんどの人はどちらか一方に完全に当てはまるのではなく、両極の間のどこかに位置します。この尺度は自己モニタリングを連続的なものとして捉えており、点数は状況に合わせるか一貫性を保つかという傾向の強さを示すにすぎません。

この理論はどこから生まれたのか

自己モニタリング理論は、1974年にアメリカの心理学者マーク・スナイダーが提唱した理論で、人によって社会的状況に合わせて自分の言動を観察・調整する度合いが異なるという観察に基づいています。スナイダーはこの傾向を測定する自己モニタリング尺度を開発し、その得点に応じて人を高セルフモニターと低セルフモニターに分けて説明しました。

社会生活や人間関係での違いはどう表れるか

高セルフモニターは初対面の人ともすぐに打ち解け、様々な集団に幅広く適応しやすい傾向があり、広い人脈を築くうえで有利だとされています。一方、低セルフモニターは少数の関係でより深く一貫した信頼関係を築く傾向があります。恋愛関係についての研究では、高セルフモニターは相手の内面の性質よりも「その場にふさわしい相手かどうか」という状況への適合性を重視する傾向があり、低セルフモニターは相手の内面的な性格や価値観をより重視する傾向があると報告されています。どちらが絶対的に優れているというわけではなく、状況によって必要な戦略が異なると考えるのが正確です。

よくある質問

高セルフモニターは嘘つきということですか?

いいえ。自己モニタリングは誠実さとは別の次元の概念です。高セルフモニターは状況に合わせて表現方法を調整しているだけで、必ずしも相手を欺いたり本心がなかったりするわけではありません。

自己モニタリングの傾向は訓練で変えられますか?

完全に生まれつき固定された特性というよりも、ある程度は意識的な努力で調整できる傾向に近いと考えられています。ただし極端に反対の傾向を演じようとするより、自分の傾向が有利に働く状況を見極めて活かすほうが現実的なアプローチです。