スコットランドのタータンとキルト文化入門ガイド

格子柄の織物タータンと、それで作られたキルトはスコットランドを代表する伝統衣装ですが、その実際の歴史は、よく知られているイメージとは少し異なります。初めて触れる際に知っておきたい基本概念を紹介します。

タータン(Tartan)とは

異なる色の糸を縦横に交差させて織った格子柄の毛織物を指します。色と縞の配列の組み合わせ(セット)によって、数千種類にも及ぶ異なるタータン柄が存在するとされています。

キルトの構造と着用法

腰から膝までの長さでプリーツ(ひだ)を寄せて巻く、スコットランドの伝統的な男性用の下衣です。正装用のキルトは、スポーラン(腰に下げる小さなポーチ)、スコットランド式の靴下、専用のベルトとバックルなど、複数の付属品を揃えて着用するのが格式ある着方とされています。

クラン(氏族)とタータンの結びつき

特定の姓やクランに固有のタータンがあり、それが太古から続く伝統だという見方が広く浸透していますが、こうしたクランごとのタータン体系のほとんどは、18世紀末から19世紀にかけて体系的に整理され、商業的に広められたものであり、はるかな古代から続く伝統というより、比較的近代に形成された慣習であるという点が学術的に広く認められています。

1746年の衣装禁止法とその廃止

1746年、英国政府はジャコバイトの反乱を鎮圧した後、ハイランド地方の伝統衣装の着用を禁じる法律を施行しました。この禁止法は1782年に廃止され、その後タータンとキルトはむしろスコットランドのアイデンティティを象徴する文化として再び注目を集め、広く普及しました。

バグパイプと共にある伝統

空気を入れた袋から複数の管を通して音を出す伝統楽器で、ハイランドゲームズや公式行事において、キルトを身にまとった演奏者による行進とともに演奏されることが多くあります。

ハイランドゲームズ

丸太投げ、バグパイプの演奏コンテスト、伝統舞踊など、さまざまな種目で構成されるスコットランドの伝統的な祭典です。参加者や観客の多くが、自分の属するクランのタータンを身にまとって参加する姿がよく見られます。

スポーラン(Sporran)

キルトには一般的なズボンのようなポケットがないため、革や毛皮で作られた小さなポーチであるスポーランを腰の前面に下げて、所持品を収納する用途に使います。格式に応じて、素材や装飾の異なるさまざまな種類のスポーランが使われます。

弾圧と復興を経た伝統衣装

タータンとキルトは1746年の衣装禁止法によって一時期着用が禁じられる試練を経験しましたが、1782年に法律が廃止されて以降、むしろスコットランドのアイデンティティを代表する象徴として再び注目され、広く普及しました。この歴史は、伝統衣装の意味が時代とともに変化してきた過程をよく示しています。

クランタータンは思われているより新しい伝統

特定のクランを象徴する固有のタータンが、はるかな古代から受け継がれてきたという見方が広く浸透していますが、実際にはクランごとのタータン体系は18世紀末から19世紀にかけて体系的に整理され、商業的に広められた、比較的近代の慣習であるとされています。

よくある質問

自分の姓に対応する公式なタータンは決まっているのですか?

現在では多くの姓やクランに、公式に登録されたタータンが紐づけられています。ただし、この登録の仕組み自体が、主に18世紀末以降に整理されたものです。太古の昔からすべての姓に固有のタータンが定められていたという通念とは、実際には異なります。

キルトはなぜ一時期禁止されていたのですか?

1746年のジャコバイトの反乱を鎮圧した後、英国政府はハイランド地方でのさらなる反乱を懸念し、伝統衣装の着用を禁じる衣装禁止法を施行しました。この法律は1782年に廃止されています。