ルーターのQoS設定でネット回線の遅延を減らす方法

誰かが大きなファイルをダウンロードしている間だけビデオ通話やオンラインゲームがカクつくなら、回線をもっと速いプランに変えるより、QoSの設定を見直すほうが解決の近道であることがほとんどです。設定方法を整理しました。

  1. QoSが実際に何をしているかを理解する

    QoS(サービス品質)は帯域そのものを増やす機能ではありません。回線が混み合っているときに、どの通信を先に送るかを決める機能です。ビデオ通話やオンラインゲームのような遅延に敏感な通信を優先することで、バックグラウンドの大きなダウンロードには気づかれない程度の遅れを引き受けてもらう、という考え方です。

  2. ルーター設定でQoSを有効にする

    ルーターの管理画面で「QoS」「サービス品質」、あるいは「Adaptive QoS」「Smart Connect」といった項目を探します。ここ数年に発売された家庭用ルーターの多くには何らかの形でこの機能が搭載されていますが、名称や設定場所はメーカーによって異なります。

  3. 優先させる端末や通信の種類を選ぶ

    多くのルーターでは、端末単位(仕事用パソコンやゲーム機を最優先に設定するなど)、または通信の種類単位(ビデオ通話やゲームを、一般的なブラウジングやダウンロードより上位に設定するなど)で優先度を指定できます。自分にとって遅延が絶対に困る通信を最優先に設定しましょう。

  4. 優先度の低い通信に帯域制限をかける

    ルーターによっては、特定の端末やゲストネットワークに使える帯域の上限を設定できる場合があります。完全なQoS設定をしなくても、特定の端末の大容量ダウンロードやバックアップ処理が他の通信を圧迫するのを防ぐのに有効です。

  5. 実際に負荷をかけて動作を確認する

    ある端末で大きなダウンロードやファイル転送を開始し、別の端末でのビデオ通話やゲームが滑らかなままかを確認します。改善が見られない場合は、QoSが実際に有効になっているか、優先端末が設定内で正しく指定されているかを見直しましょう。

QoSは帯域を「増やす」のではなく「並べ替える」機能

QoSを設定すればインターネット全体が速くなると誤解されがちですが、それはできません。ダウンロードとアップロードの合計速度は契約している回線プランで決まっており、QoSが変えられるのは、その限られた帯域を複数の通信が同時に取り合うときの送信順序だけです。これはまさに、誰かが大きなファイルをアップロードしている間にビデオ通話がフリーズする、という状況そのものに直結する仕組みです。

最近のルーターは自動化が進んでいる

現行のルーターの多くは、SQM(スマートキューマネジメント)やCAKEといったアルゴリズムを搭載しており、回線のバッファに通信が溜まることで発生する遅延(バッファブロート)を、手動で端末の優先順位を設定しなくても自動的に管理してくれます。「Adaptive QoS」のような自動モードが用意されている場合は、手動で優先ルールを細かく設定するより、まずはそちらを試すほうがシンプルで効果的なことが多いです。

よくある質問

QoSを有効にすると回線全体の速度が上がりますか?

いいえ。QoSは回線が混雑しているときにどの通信を先に送るかを変えるだけで、最大のダウンロード・アップロード速度は契約している回線プランの数値のままです。

かなり速い回線プランを契約していてもQoSは必要ですか?

特にアップロード速度に関しては必要になることが多いです。ビデオ通話やオンラインゲームはアップロード側の混雑に特に敏感で、多くの家庭向けプランはダウンロード速度に比べてアップロード速度がかなり低いため、ダウンロードが速いプランだからといって、誰かがアップロード中の通話やゲームの遅延が自動的に防げるわけではありません。