確定拠出年金の「あらかじめ指定した運用商品」制度をわかりやすく解説

多くの確定拠出型の退職年金制度では、掛金が放置されないよう、あらかじめ指定しておく運用商品(デフォルト商品)の仕組みが用意されています。その考え方を見ていきましょう。

デフォルト運用商品とは何か

デフォルト運用商品とは、そのままでは運用されずに放置されてしまう掛金――例えば、プラン内の定期預金が満期を迎えた後、そのまま待機している資金など――を、口座保有者があらかじめ選んでおいた(あるいはプランが割り当てる)運用商品に自動的に投資する仕組みです。似た考え方は各国の退職年金制度に存在し、例えば米国の企業年金制度で使われるQDIA(Qualified Default Investment Alternative)や、他の一部の国の自動加入型年金制度における「デフォルトファンド」の仕組みなどが挙げられます。

なぜこのような制度が導入されたのか

規制当局がデフォルト商品に関するルールを導入した背景には、よくある問題があります。多くの加入者は掛金を低利回りの元本保証型商品(預金など)に置いたまま、能動的に運用商品を選ばず、その結果、何年も運用の見直しがされないまま長期的なリターンが損なわれてしまうという問題です。デフォルト商品制度は、放置された資金があらかじめ承認された方法で自動的に運用されるようにすることで、自分では決して能動的な選択をしないであろう加入者の長期的な運用成果を改善することを目指しています。

適用対象となる口座

デフォルト商品のルールは一般的に、口座保有者自身が運用商品を選ぶ責任を負う確定拠出型(DC)プランや個人型の退職口座に適用されます。一方、雇用主が積立資産をまとめて運用し、あらかじめ決められた給付額を約束する確定給付型(DB)プランには通常適用されません。DB型には個人が運用を選択するという概念自体が存在しないため、デフォルト制度が代わりに機能する余地がないからです。

リスク等級別の商品構成

デフォルト商品は通常、非常にリスクの低いもの(元本保証型商品など)から、より高いリスクを取る混合型ファンドやターゲットデートファンド(TDF)まで、リスク等級別に分かれて構成されており、口座保有者は自分のリスク許容度に合った等級をあらかじめ選んでおくことができます。プラン提供会社は通常、複数のリスク等級にまたがる商品ラインナップを設計し、規制当局の承認を得た上でデフォルト選択肢として提供します。

いつ自動的に運用されるのか

掛金が能動的な運用指示のないまま放置されている場合、プラン提供会社は通常、口座保有者に通知を行い、一定の待機期間が経過しても指示がなければ、あらかじめ指定されたデフォルト商品に自動的に投資されます。正確な待機期間や通知の手順は、プラン提供会社や各国の規制によって異なるため、自分に適用される正確なスケジュールは、利用しているプラン提供会社のアプリやウェブサイト、公式の案内で確認してください。

デフォルト商品の設定方法

希望するデフォルト商品のリスク等級は、通常プラン提供会社のウェブサイトやアプリを通じて、あるいは窓口を訪問して指定できます。デフォルト商品を設定しておくことで掛金が無期限に放置される事態は防げますが、これはあくまで放置を防ぐための安全装置であり、市場状況や自分の退職時期の変化に応じて能動的に運用内容を見直す努力の代わりにはなりません。

留意しておきたい点

デフォルト商品のすべてが元本保証型というわけではありません。混合型ファンドやターゲットデートファンドがデフォルト商品として含まれる場合、投資元本が損失を被る可能性があります。あらかじめ承認された制度だからといって「デフォルト商品=安全」と誤解しないようにしましょう。自分の運用期間とリスク許容度を踏まえてリスク等級を慎重に選び、一度設定したら終わりにせず、定期的に運用状況を見直すことが大切です。

この制度が解決しようとしている行動面の問題

退職貯蓄に関する数十年にわたる研究から、能動的に運用商品を選ぶことを求められると、多くの人が結局何も選ばないという傾向が明らかになっています。それは低利回りのデフォルト商品を本当に望んでいるからではなく、選択すること自体に手間がかかり、現状維持の力の方が勝ってしまうためです。米国のQDIAや、他の国々の自動加入型年金におけるデフォルトファンドのルールは、こうした「現状維持バイアス」に対する意図的な政策対応であり、放置された掛金を物価上昇によって目減りさせるのではなく、あらかじめ吟味された合理的な運用商品へと導くことを目的としています。

これは一般的な情報であり、金融アドバイスではありません

具体的な対象要件、通知期間、承認されたデフォルト商品のラインナップは国やプラン提供会社によって異なり、規制も随時更新されます。このページはデフォルト運用商品という考え方とその背景にある理由を一般的に説明したものです。自分自身の退職口座に適用される正確なルールについては、利用しているプラン提供会社の公式な開示情報を確認するか、資格を持つファイナンシャルアドバイザーに相談してください。

よくある質問

デフォルト商品を選んでおけば、元本割れしないと保証されますか?

いいえ。選んだデフォルト商品が純粋な元本保証型商品ではなく、混合型ファンドやターゲットデートファンドを含むものである場合、他の市場連動型の運用商品と同様に、市場が下落すれば口座残高も減少する可能性があります。

デフォルト商品は必ず利用しなければなりませんか?

この制度を提供しているほとんどの仕組みでは、利用は義務ではなく任意です。これはあくまで、自分で能動的な運用選択をしなかった場合のための仕組みです。自分で口座を積極的に管理し、運用指示を行っている場合、デフォルト商品が発動することは通常ありません。