なぜ物価上昇率が高いほど、単純な引き算の誤差が大きくなるのか
単純な引き算による目安と、フィッシャー方程式による正確な結果との差は、引き算では無視されている「交差項」に由来する。数学的には、(1+物価上昇率)で割ることは物価上昇率を引くこととは同じではない。一桁台前半の物価上昇率であれば差は0.5ポイント未満に収まることが多いが、高インフレ期にはこの差が数ポイントに達することもあり、まさにそういう局面こそ正確な実質リターンの把握が重要になる。
長期的な目標にとって本当に意味を持つのは実質リターン
名目リターンが全く同じ2つの投資でも、比較する期間の物価上昇環境が異なれば、実質リターンは大きく異なりうる。だからこそ、口座残高の増加だけでなく購買力の増加を比較することこそが、その投資が実際に長期的な資産形成に貢献しているかを判断するうえでより意味のある方法である。
よくある質問
リターンから物価上昇率を単純に引くだけではダメなのですか?それで十分近いのでは?
物価上昇率が低いうちは、それなりに妥当な概算にはなります。しかし数学的にはあくまで近似値であり、正確な数値ではありません。フィッシャー方程式の割り算に基づく計算式が正確な実質リターンを与え、リターンや物価上昇率のいずれかが大きくなるほど両者の差は開いていきます。
口座残高が増えているのに、実質リターンがマイナスになることはありますか?
はい。その期間の物価上昇率が名目リターンを上回っていれば、実質リターンはマイナスになります。金額としては口座残高が増えていても、購買力としては以前より目減りしており、口座上は利益が出ているように見えても実際には買えるものが減っているということです。