米国IOM(医学研究所)による妊娠中の推奨体重増加ガイドライン

妊娠中に推奨される体重増加量は、世界共通のたった一つの数字ではなく、妊娠前のBMIによって決まる範囲として示されます。ここでは米国医学研究所(IOM)の基準をもとに整理します。

出発点は妊娠前のBMI

推奨される体重増加の範囲は、妊娠が始まる直前の身長・体重から計算したBMIをもとに、低体重・普通体重・過体重・肥満という4つの標準区分のいずれかに分類することから決まります。

BMI区分ごとに異なる総増加量の範囲がある

単胎妊娠でよく引用されるIOMの範囲は、低体重でおよそ12.5~18kg、普通体重で11.5~16kg、過体重で7~11.5kg、肥満で5~9kg程度とされており、妊娠前のBMIが低いほど推奨される増加量の範囲は一般的に大きくなります。

体重増加のペースは妊娠期間を通じて一定ではない

一般的に妊娠初期(第1トリメスター)の増加は緩やか(合計で数キロ程度にとどまることが多い)で、妊娠中期・後期にかけてより一定のペースで増えていく傾向があり、9か月間にわたって均等に増えていくわけではありません。

双子・多胎妊娠は別の、より高い範囲が使われる

複数の赤ちゃんを妊娠することは体への生理的な負荷を大きく高めるため、双子妊娠の推奨体重増加範囲は、同じ妊娠前BMI区分であっても単胎妊娠の範囲より明確に高く設定されています。

あくまでガイドラインであり、個人に厳密に強制するルールではない

これらの範囲は、集団レベルで平均的に良好とされる結果と関連付けられた目安であり、すべての妊娠に対して同じように当てはまる絶対的な目標ではありません。個々の健康状態など他の多くの要因によって左右されます。

なぜ一つの固定数字ではなくBMI区分ごとの範囲で示すのか

単一の共通目標では、妊娠開始時点で低体重の人と肥満の人とでは出発点がまったく異なるという事実を反映できません。妊娠前のBMI区分を基準にガイドラインを組み立てることで、体重の低い状態から妊娠を始めた人のほうが、体重の高い状態から始めた人に比べて、より大きな総増加量に余裕があり、しばしば生理学的にも恩恵があるという点を反映できます。

範囲から外れることは「結論」ではなく「相談すべき話題」

推奨範囲より明らかに少ない、あるいは多い体重増加は、集団レベルで見た場合に本人や赤ちゃんにとって一定の留意点と関連付けられているとする研究もありますが、既往症の有無、多胎妊娠かどうか、どのように体重が増えているかなど、個々の事情はかなり幅があります。これは一般的な教育情報であり、医療上の助言ではありません。個々の妊娠を管理している産婦人科医や助産師の指導に代わるものでは決してありません。

よくある質問

この体重増加ガイドラインは世界共通ですか?

厳密には共通ではありません。ここで紹介した具体的な範囲は米国医学研究所(IOM)によるもので、多くの国の保健当局も似たようなBMIに基づく考え方を採用していますが、具体的な推奨範囲は国や発表元の機関によって多少異なります。日本など他の国では独自の基準が使われていることもあるため、居住地の基準もあわせて確認することをおすすめします。

体重増加が一般的な範囲から外れていた場合、どうすればいいですか?

これは一般的な情報であり、診断や医療上の助言ではありません。一般的な集団向けの範囲から外れていること自体が、直ちに問題を意味するわけではありませんが、あなたの妊娠経過や健康状態を十分に把握している産婦人科医や助産師など、資格のある医療専門家に相談する価値があります。