核分裂と核融合の原理の違いを総整理

原子力発電と太陽エネルギー、正反対の方向を持つ2つの核反応の原理を見てみましょう。

核分裂とは

ウランやプルトニウムのような重い原子核が中性子を吸収した後、2つの軽い原子核に分裂する反応です。核が分裂する際、元の原子核より軽い原子核が2つできると同時に、いくつかの中性子と大量のエネルギーが放出されます。

核分裂の連鎖反応

核分裂で飛び出した中性子が再び別の原子核を分裂させることで反応が自ら続いていくことを連鎖反応と呼びます。この連鎖反応の速度を制御棒などでゆっくり調節すれば原子力発電に、一瞬で爆発的に起こせば原子爆弾に利用される原理です。

核融合とは

水素のような軽い原子核2つが1つに合わさり、ヘリウムのようなより重い原子核になる反応です。核分裂とは正反対の方向の反応で、2つの原子核を結合させるには原子核同士の強い反発力を上回るほどの、非常な高温・高圧環境が必要です。

太陽が輝く理由

太陽の中心部では、水素原子核4つが融合してヘリウム原子核1つになる核融合反応が絶え間なく起こっています。こうしてできたヘリウム原子核は、元の水素原子核4つを合わせたものよりわずかに質量が軽く、この減った質量が莫大なエネルギーに変わり、太陽の光と熱として宇宙空間に広がっていきます。

E=mc²と質量-エネルギー変換

核分裂も核融合も、反応の前後でごくわずかな質量差が生じ、その質量がアインシュタインの質量とエネルギーの等価公式に従ってエネルギーに変わります。質量(m)に光速(c)の2乗を掛けた分だけエネルギー(E)が生まれるというこの公式のおかげで、ごくわずかな質量変化だけで途方もないエネルギーを説明できます。

核分裂発電と核融合発電の違い

核分裂はすでに世界中の原子力発電所で実用化されていますが、核融合はまだ商用発電に成功した例がありません。核融合を起こすには太陽内部に匹敵する超高温・超高圧状態を人工的に長時間維持する必要があり、この条件を経済的に持続させる技術がまだ開発途中だからです。

国際熱核融合実験炉(ITER)のような挑戦

複数の国が共同で参加し、商用核融合発電の可能性を検証する国際熱核融合実験炉(ITER)のような大型実験施設を建設しています。核融合発電が実現すれば、原料である水素は手に入りやすく、高レベル放射性廃棄物の問題も核分裂より少なくなると期待されており、「夢のエネルギー」と呼ばれ多くの国が研究に投資しています。

放射性廃棄物の比較

核分裂発電は長期間の管理が必要な高レベル放射性廃棄物を残しますが、核融合反応は放射性廃棄物が相対的にはるかに少ないとされています。ただし核融合炉を構成する構造物自体が中性子にさらされて放射化する問題は残っており、核融合についても廃棄物管理方法の研究が並行して進められています。

核融合発電は商用化できるのか

現時点で持続的かつ経済的に成立する商用核融合発電を実現した炉はまだありません。ITERのような大型の国際共同プロジェクトがその実現可能性を検証しようとしていますが、専門家の間では商用核融合発電の実現にはなお数十年かかるという見方が一般的です。

よくある質問

核分裂と核融合、どちらがより危険ですか?

単純に比較するのは難しいです。核分裂発電はすでに長期間商用化されており安全基準や管理体制が整っていますが、高レベル放射性廃棄物の管理が課題として残っています。核融合は暴走反応のリスクは低いとされていますが、まだ商用化前の実験段階です。

水素爆弾は核分裂ですか、核融合ですか?

水素爆弾(熱核兵器)は、まず核分裂反応で超高温・超高圧の環境を作り出し、その力を利用して核融合反応を起こす方式で、2つの反応が組み合わされて使われます。