PAN・LAN・MAN・WAN:規模で見るネットワークの種類

同じ「ネットワーク」でも、範囲が手首の数センチなのか地球規模なのかによって呼び方が変わります。

  1. PAN(パーソナルエリアネットワーク)

    半径数メートル以内にある個人用の機器同士をつなぐ、最も小さなネットワークです。Bluetoothイヤホン、スマートウォッチ、NFC決済のように1人が持つ機器同士の通信が代表例で、ルーターを介さずに機器同士が直接つながることがほとんどです。

  2. LAN(ローカルエリアネットワーク)

    自宅やオフィス、学校の建物のように比較的狭い空間内の機器をひとつにまとめるネットワークです。家庭用Wi-Fiルーターにつながったパソコン・スマートフォン・スマートテレビはすべて同じLANに属し、多くの場合プライベートIPアドレスの範囲を使います。

  3. CAN(構内・キャンパスエリアネットワーク)

    大学のキャンパスや複数棟からなる企業の敷地のように、ひとつの敷地内にある複数の建物のLANを互いに接続した中規模のネットワークです。それぞれの建物は独立したLANですが、光ファイバーなどで結ばれてひとつの管理領域のように機能します。

  4. MAN(都市圏ネットワーク)

    ひとつの都市、あるいはそれに準じる範囲で複数のLAN・CANを接続するネットワークです。通信事業者が都市内の複数の支社、データセンター、基地局を光ファイバーで結んで構成するネットワークが代表例です。

  5. WAN(広域ネットワーク)

    国や大陸をまたぐ、最も広い範囲のネットワークです。複数の地域のMANやLANをさらに接続したものがWANであり、私たちが日々使うインターネットは、世界中のWAN同士がつながった「ネットワークのネットワーク」と言えます。

  6. 規模を一目で比較する

    PAN(数メートル)→LAN(建物1棟)→CAN(敷地・キャンパス)→MAN(都市)→WAN(国・大陸)の順に範囲が広がっていきます。範囲が広がるほど管理主体は個人から通信事業者や大規模な事業体へと移り、使われる回線もプライベートな配線から通信事業者のバックボーン網へと変わっていきます。

  7. ネットワークトポロジーとは別の軸の話

    PAN・LAN・MAN・WANという規模による分類は「どれくらい広い範囲か」を基準にしたものであり、スター型・バス型・メッシュ型といったネットワークトポロジーは「機器同士をどんな形でつないでいるか」を基準にしたものです。この2つは別の軸なので、ひとつのLANの中でもスター型のトポロジーを使うことができます。

トポロジーは規模とはまったく別のことを説明している

あるネットワークがLANだとわかっても、その中の機器がどのように物理的・論理的に配線されているかまではわかりません。それを説明するのがトポロジーです。すべての機器がひとつのスイッチに集まるスター型、機器が1本の回線を共有するバス型、機器同士が何重にも冗長にリンクし合うメッシュ型は、いずれも小さなLANから都市規模のMANまで、どんな規模のネットワークの中にも存在しえます。

独立したWAN同士がひとつのインターネットとしてつながる仕組み

インターネットが成り立っているのは、それぞれ独立して運用されているネットワーク同士が、境界部分で共通のルーティングプロトコル(代表的にはBGP、Border Gateway Protocol)を使ってトラフィックを交換し合うことに合意しているからです。この共通のルーティングの仕組みがなければ、各組織のWANはひとつのグローバルなインターネットの一部ではなく、孤立した島のままになってしまいます。

よくある質問

会社で使うVPNもこの規模による分類に当てはまりますか?

厳密には当てはまりません。VPNは規模の分類というより、「すでに存在するWAN(インターネット)の上に暗号化された仮想的な通路を作る技術」と説明するほうが近いです。物理的には通信はWANを経由しますが、論理的にはまるで接続された機器同士がひとつのLANの中にいるかのように安全に通信できます。

MANとWANの境界に明確な基準はありますか?

厳密な距離の基準は定められていません。実務上は、ひとつの都市や都市圏の範囲内にとどまり、単一の通信事業者が運用しているネットワークをMAN、国や大陸をまたいで複数の事業者のネットワークがつながっている範囲をWANと呼ぶのが一般的です。