MTUとは?基本概念とトラブルの見分け方

次の順番で確認してみましょう。

  1. MTUの概念を理解する

    MTU(Maximum Transmission Unit、最大転送単位)とは、ネットワーク上で一度に送信できるパケットの最大サイズ(バイト数)のことです。一般的な有線イーサネットの標準MTUは1500バイトで、これより大きいデータは複数に分割(フラグメンテーション)されて送信されます。

  2. PPPoE環境ではMTUが1492バイトに減る

    回線をPPPoE方式で接続すると、データの先頭に8バイトのPPPoEヘッダーが追加されるため、実際に使えるMTUは1500から8を引いた1492バイトになります。多くのルーターはこの値を自動で処理しますが、手動でネットワークを設定した端末や一部のVPNクライアントでは値が合わず問題が起きることがあります。

  3. 症状からMTU問題を疑ってみる

    通常のWeb閲覧やpingテストは問題ないのに、VPN接続が頻繁に切れたり、特定のサイトだけ読み込みが止まったり、大きな添付ファイルを開くときだけフリーズする場合、経路の途中でMTU値が合わずパケットが静かに破棄される、いわゆるMTUブラックホール現象を疑ってみる価値があります。小さいパケット(ping)は通るのに、大きいパケットだけ通らないのが特徴です。

  4. pingテストで実際の最大サイズを確認する

    Windowsではコマンドプロンプトで ping -f -l 1472 対象アドレス のようにフラグメンテーションを禁止(-f)し、サイズ(-l)を指定してテストします。エラーなく通る最大値に28バイト(IPとICMPのヘッダー)を足した値が実際の最大MTUで、PPPoE環境では1464バイト前後のペイロードが基準になることが多いです(1464+28+8=1500)。

  5. ルーターや端末でMTU値を直接調整する

    ルーターの管理画面のインターネット(WAN)設定メニューでMTU項目を探し、1492またはテストで確認した値を直接入力できます。多くのルーターは自動設定のままで問題ありませんが、問題が続く場合は手動で下げて設定してみるとよいでしょう。

  6. NAS・サーバー環境のジャンボフレーム

    内部の有線ネットワークでNASと大容量ファイルを頻繁にやり取りする場合、MTUを最大9000バイトまで上げるジャンボフレームを使って転送効率を高めることがあります。ただし、経路上のスイッチ、LANカード、NASまで、すべての機器がジャンボフレームに対応している必要があり、一つでも対応していないとかえって問題が起きることがあります。

ルーターのWAN設定と合わせて確認しましょう

MTUの調整も結局はルーターのインターネット(WAN)設定メニューの中にある項目です。管理画面へのアクセス方法がわからない場合は、まずルーターの取扱説明書や設定画面の案内を確認してみてください。

IPv6を使っている場合

IPv6環境では、経路の途中にある機器が勝手にパケットを分割できない仕組みのため、MTUの不一致がかえって目立ちやすくなることがあります。

よくある質問

MTU値をむやみに大きくすればインターネットが速くなりますか?

いいえ、むしろ経路の途中の機器が対応していないサイズで送るとパケットが静かに破棄されたり、断片化が増えてかえって遅くなることがあります。MTUは大きく設定すれば速くなる値ではなく、経路に合わせて正確に設定すべき値です。

一般ユーザーもMTUを気にする必要がありますか?

ほとんどの場合、ルーターと通信事業者の機器が自動で適切な値を処理してくれるので気にする必要はありません。ただし、VPN接続が頻繁に切れたり特定のサイトだけ開けない問題が続く場合は、ここで紹介した方法で点検してみる価値があります。