ロレム・イプサムとは何か、デザイナーが今も使う理由

ロレム・イプサムは、未完成のデザインの中でほぼ誰もが一度は目にしたことがあるダミーテキストです。ただ、その出所を知っている人は多くありません。

本物の単語ではなく、崩したラテン語

ロレム・イプサムのテキストは、あるラテン語の文献から取られた文章を、ゆがめて並べ替えたものです。一見すると本物の言語のように見えながら、実際には意味をなさない文になるように選ばれており、閲覧者が実際の意味に気を取られることがありません。

古典ラテン語の文献にまでさかのぼる

元になった文章は、およそ2000年前にラテン語で書かれたある哲学書に由来します。「lorem ipsum」という言葉で始まるその一部が崩されて、やがて印刷業界の定番ダミーテキストになりました。

意味のない文章が初期段階で本物の文章より優れている理由

ロレム・イプサムには実際の意味がないため、閲覧者は行の長さ、余白、フォントサイズといったレイアウトの視覚的なリズムをもとに判断でき、言葉の内容を読んで反応することに引き込まれてしまうことがありません。これはまさにデザインの初期段階で求められることです。

通常の文章のバランスをおおむね再現している

ロレム・イプサムは短い単語と長い単語が自然な比率で混ざっているため、同じ文字を繰り返しただけのダミーテキストとは違い、段落として組んだときに本物の本文と同じような形でスペースを埋めてくれます。

役立つ場面と役立たない場面

内容が確定する前の初期のモックアップやレイアウト検証には向いています。一方でユーザビリティテスト、クライアントへのプレゼン、完成に近いものについては、実際の、あるいは実際に近いサンプル文章の方が、完成品の印象をはるかに正確に伝えられます。

ジェネレーターなら分量をぴったり指定できる

ほとんどのロレム・イプサム生成ツールは、単語数、文の数、段落数を指定できるため、決まった長さの文章を手作業でコピー&調整するのではなく、レイアウトに必要な分量だけをちょうど生成できます。

印刷所からウェブデザインへ

ダミーのラテン語テキストは、実際のコンテンツが用意される前に書体を見せるための手段として、印刷業界で何世代にもわたって使われてきたと言われています。同じ習慣は、DTP(デスクトップパブリッシング)、さらにはウェブやアプリのデザインへとごく自然に引き継がれました。「本物の文章ができる前にレイアウトを埋める」という根本的なニーズがなくならなかったからです。

あえて使わないという考え方

一部のデザイナーは、ダミーテキストは本当の問題を隠してしまうと主張します。たとえば、翻訳後に収まらなくなる見出しや、ダミー文が本物の文章に置き換わった途端に不自然に読める段落などです。そうした立場のデザイナーは、最初から現実的なサンプル文章を書くことを好みます。

よくある質問

ロレム・イプサムは実際にラテン語として意味を持っていますか?

書かれている状態では意味を持ちません。本物のラテン語の文章の一部を、単語を削ったり並べ替えたり変えたりして、もはやまとまった文にならないほど崩したものです。ただし、断片ごとに見るとラテン語由来だと分かる程度には原形をとどめています。

ダミーテキストとして、なぜ最初から本物の文章を使わないのですか?

読み手が理解できる言語で本物の文章を使うと、レイアウト自体がまだ固まっていない段階でも、「この言い回しは好きじゃない」といった形で内容そのものについて判断・修正されがちです。これこそ、ロレム・イプサムが初期段階で避けようとしている、まさにその種の注意のそれなのです。