起源 - ムハンマドと啓示
イスラム教は7世紀初頭、アラビア半島のメッカで預言者ムハンマドが天使ガブリエルを通じてアッラーの啓示を受けたという伝承に始まります。ムハンマドは622年、迫害を逃れてメディナへ移住(ヒジュラ)し、この年がイスラム暦の元年とされています。
中心となる聖典 - クルアーンの位置づけとハディース
クルアーンはムハンマドが受けた啓示をまとめた聖典で、イスラム信仰において神の言葉そのものとされる最高権威の経典です。ハディースはムハンマドの言行を記録した伝承集で、クルアーンに明記されていない信仰や生活上の細かな指針を補う役割を果たします。
イスラムの五行
イスラム信仰実践の中心は、信仰告白(シャハーダ)、1日5回の礼拝(サラート)、喜捨(ザカート)、ラマダン期間の断食(サウム)、生涯に一度のメッカ巡礼(ハッジ)という五行にまとめられます。この五つは信徒の義務とされ、イスラム共同体(ウンマ)の結束を固める役割も果たします。
スンニ派とシーア派 - 分裂の歴史的背景
スンニ派とシーア派の分裂は、632年のムハンマド死後、後継者(カリフ)の継承をめぐる対立に端を発します。シーア派はムハンマドのいとこであり娘婿でもあるアリーとその子孫のみを正統な指導者とみなす一方、スンニ派は共同体の合意によって選ばれたカリフの正統性を認めており、今日ではスンニ派がイスラム教徒全体の多数を占めています。
ラマダンと断食の意味
ラマダンはイスラム暦の9番目の月で、この期間中ムスリムは日の出から日没まで飲食を断つ断食を行います。断食は神への服従を確認し、貧しい人々の境遇を実感し、共同体の絆を強める意味を持ち、断食が明ける日はイード・アル=フィトルという祝祭で祝われます。
イスラム法(シャリーア)と日常生活
シャリーアはクルアーンとハディースに基づくイスラム法体系で、礼拝のような宗教儀礼だけでなく、食生活、家族、商取引など日常生活全般の規範を含みます。代表的な例として豚肉と酒を禁じ、ハラール(許された)方式で処理・調理された食品のみを食べるよう定めています。
世界への広がりと信徒数
イスラム教はムハンマドの死後、急速にアラビア半島を越えて北アフリカ、中東、南アジア、東南アジアへと広がりました。現在、世界の信徒数は約19~20億人と推定され、キリスト教に次いで2番目に信徒数の多い宗教とされています。