昆虫の変態を完全解説 — 完全変態と不完全変態

同じ昆虫なのに、なぜあるものはサナギを経て、あるものはそのまま育つだけなのでしょうか?

完全変態とは

卵→幼虫→サナギ→成虫という4段階を経る発生過程です。幼虫と成虫の姿がまったく異なり、サナギの中で体の構造が大きく再構成されます。

不完全変態とは

卵→幼虫(若虫)→成虫の3段階を経て、サナギの段階がありません。若虫は翅がないか小さいだけで、すでに成虫に似た姿をしており、脱皮を繰り返しながら少しずつ成長します。

チョウ(完全変態)

卵からかえった幼虫が葉を食べながら育ち、サナギになります。その中で体が完全に再構成された後、翅のある成虫として羽化します。完全変態を説明する際に最もよく例に挙げられる昆虫です。

カブトムシ・コガネムシ類(完全変態)

世界で最も種類の多い昆虫の仲間で、チョウと同様に幼虫-サナギ-成虫の段階を経ます。幼虫の時期は土の中や木の中で過ごし、成虫になると硬い前翅(鞘翅)を持つようになります。

ハチ・アリ(完全変態)

ミツバチやアリもサナギの段階を経る完全変態の昆虫です。幼虫は脚がないか非常に短いウジ状の姿をしており、サナギを経て初めて翅と脚を備えた成虫の姿になります。

トンボ(不完全変態)

水中で幼虫(ヤゴ)の時期を過ごし、何度も脱皮を繰り返した後、水の外に出て最後の脱皮とともに翅を広げた成虫になります。サナギの段階をまったく経ずに成虫になる代表的な例です。

バッタ・コオロギ(不完全変態)

卵からかえった若虫はすでに成虫に似た姿をしており、脱皮を繰り返しながら体を大きくし翅を成長させていきます。サナギの段階がないため、幼い頃から成虫に似た姿を見ることができます。

セミ(不完全変態)

土の中で何年も若虫として過ごした後、地上に出て最後の脱皮(羽化)を経て成虫になります。サナギの段階がないのに幼虫期間が非常に長い昆虫の例です。

脱皮(ぬけがら)

昆虫は硬い外骨格を持っているため、体を大きくするには古い殻を脱ぎ捨てる必要があります。完全変態でも不完全変態でも、幼虫(若虫)の時期には何度も脱皮を繰り返しながら体を大きくしていきます。

羽化

サナギの段階、あるいは最後の若虫の段階から、翅のある成虫へと完全に姿を変える瞬間を指します。セミやトンボが殻を破って出てきて翅を広げる姿が、羽化の代表的な様子です。

完全変態と不完全変態、最も簡単な見分け方

サナギの段階があれば完全変態、なければ不完全変態です。チョウやカブトムシのように幼虫と成虫の姿がまったく異なる昆虫はサナギの中で体を完全に再構成する完全変態を、バッタやトンボのように幼い頃から成虫に似ている昆虫はサナギを経ずに脱皮だけを繰り返す不完全変態を経ます。

なぜこのような違いが生まれたのか

完全変態の昆虫は幼虫の時期と成虫の時期でそれぞれ異なるエサや生息環境を利用できるため、競争を避けやすいという説が広く知られています。例えばチョウの幼虫は葉を食べますが、成虫は花の蜜を吸うというように、同じ種の中でも時期によって異なる資源を使い分けているわけです。

よくある質問

クモも変態をしますか?

クモは昆虫ではなく、節足動物の別のグループ(クモ綱)に属します。脱皮はしますが、昆虫の完全変態・不完全変態のような変態過程は経ません。

セミはなぜ幼虫期間がそんなに長いのですか?

セミの幼虫(若虫)は土の中で木の根の樹液を吸いながら、何年もかけてゆっくりと育つためです。種によって幼虫として過ごす期間は大きく異なります。