カレン・ホーナイの神経症的傾向理論とは
ドイツ出身の精神分析家カレン・ホーナイは、著書『現代の神経症的人格』(1937年)と『内的葛藤』(1945年)の中で、幼少期に安定した安全感を得られなかった環境で育つことで形成される「基本不安(basic anxiety)」という概念を提唱しました。人はこの不安に対処するために、人に近づく(順応型)、人に立ち向かう(攻撃型)、人から離れる(遊離型)という3つの傾向を示すと説明しました。
3つのタイプは互いに排他的なのか
ホーナイは、心理的に健康な人であれば状況に応じてこの3つの傾向を柔軟に行き来できると考えました。一方で神経症的な人は、3つの傾向のうち一つに過度に固着し、状況に合わなくても同じ方式ばかり繰り返し、残る2つの傾向に関連する欲求を抑え込んでしまうと説明しました。つまり問題は特定の傾向そのものではなく、その傾向に縛られて柔軟性を失うことにあるという見方です。
よくある質問
フロイトの理論とはどう違うのですか?
ホーナイはフロイトの精神分析から出発しましたが、性格形成を性的衝動よりも対人関係や社会・文化的要因に重きを置いて説明した点が、フロイトとの主な違いの一つとされています。
一人が複数の傾向を示すこともありますか?
はい。ホーナイはこれらを厳密な分類というより傾向として捉えており、多くの人は状況に応じて複数の傾向を併せ持ちます。問題になるのは、状況にかかわらず一つの傾向に硬直的に固着してしまう場合です。