グリット(GRIT)やり抜く力理論完全解説

長期的な目標に向けた情熱と粘り強さ、グリットを構成する要素を見ていきましょう。

グリット(GRIT)とは

心理学者アンジェラ・ダックワースが提唱した概念で、長期的な目標に向けた情熱と粘り強さを意味します。一瞬の才能よりも継続的な努力のほうが長期的な達成を予測するうえで重要な役割を果たすという主張で広く知られるようになりました。

情熱の一貫性(Consistency of Interest)

ダックワースが作成したグリット尺度(Grit Scale)を構成する2つの下位要素の一つで、関心事や目標を頻繁に変えず、長期間一つの方向に集中し続ける度合いを指します。

努力の持続性(Perseverance of Effort)

グリット尺度のもう一つの下位要素で、困難や挫折を経験しても努力をやめずに続ける度合いを指します。後続の研究では、この要素のほうが成果の予測により大きく寄与するという分析も示されています。

興味(Interest)

ダックワースが著書『GRIT』で挙げた4つの心理的資産の一つで、自分が取り組んでいることに心から興味を持つことが、粘り強さの出発点になるという意味です。

練習(Practice)

日々自分の弱点に向き合い、より上達するために没頭して繰り返す意図的な練習(deliberate practice)を指します。

目的(Purpose)

自分の努力が自分だけでなく他者やより大きな価値にとっても意味があるという確信で、つらい瞬間でも努力を続けさせる原動力として説明されます。

希望(Hope)

ダックワースの言う希望とは、状況が自然に良くなるという漠然とした楽観ではなく、挫折を経験しても再び立ち上がって努力を続けられるという信念を指します。

グリット理論とは?

アンジェラ・ダックワースは2007年の論文でグリットを「長期的な目標に向けた情熱と粘り強さ」と定義し、それを測定するグリット尺度を開発しました。その後、著書『GRIT』の中で、才能よりも継続的な努力のほうが達成を生み出すうえで大きな役割を果たすという主張を広め、この概念は広く知られるようになりました。

グリットは本当に誠実性と別の概念なのか

グリットが大きな人気を得た後、複数のメタ分析から批判的な指摘も出されました。ある大規模なメタ分析では、グリットと成果との相関は予想より小さく、グリットの2要素のうち努力の持続性が予測力の大部分を占める一方、情熱の一貫性の寄与は相対的に小さいと報告されています。また双子研究では、グリットがビッグファイブ性格5因子の誠実性と遺伝的に非常に高い相関を示すという結果が出ており、グリットが全く新しい性格特性というより誠実性とかなり重なる概念である可能性という論争につながっています。

よくある質問

グリットが低いと成功しにくいのですか?

グリットは達成に影響を与えうる複数の要因の一つとして扱われるだけで、唯一の決定要因ではありません。才能、環境、機会、他の性格特性など、さまざまな要因が一緒に働くと考えるほうがより正確です。

グリット尺度のスコアをそのまま信じてもいいですか?

グリット尺度は自己報告式のアンケートであり、自分の普段の姿をどれだけ正確に認識して答えるかによって結果が変わります。参考資料として活用しつつ、絶対的な診断結果として受け止めないほうがよいでしょう。