世界の有名な宝石事典

それぞれの宝石がどんな鉱物でできていて、なぜその色になるのかを見てみましょう。

ダイヤモンド — 炭素でできた最も硬い宝石

炭素原子が正八面体構造で緻密に結合してできる宝石で、地下深くのマントルで形成された後、火山活動によって地表近くまで運ばれてきたと考えられています。純粋なダイヤモンドは無色透明ですが、微量の窒素が混じると黄色みを、ホウ素が混じると青みを帯びることがあります。歴史的にはインドが主要産地でしたが、その後南アフリカをはじめ各地でも産出されるようになりました。

ルビー — クロムによって赤く染まったコランダム

酸化アルミニウムでできたコランダムの一種で、微量のクロム成分によって赤みを帯びる宝石です。古くからミャンマー(モゴック地方)が良質なルビーの代表的な産地とされ、タイやスリランカ、モザンビークなどでも産出されます。なお同じコランダムでも赤色でなければルビーではなくサファイアに分類されます。

サファイア — 赤以外のすべての色のコランダム

ルビーと同じコランダム鉱物ですが、鉄とチタンの成分によって主に青みを帯びます。コランダムのうち赤色はすべてルビーと呼び、それ以外の色(黄色、ピンク、緑など)はすべて「ファンシーサファイア」と総称するのが慣例です。カシミール、スリランカ、マダガスカル、オーストラリアなどが代表的な産地です。

エメラルド — クロム・バナジウムが加わった緑の宝石

緑柱石(ベリル)の一種で、微量のクロムやバナジウム成分によって特有の濃い緑色を帯びる宝石です。コロンビアのムゾー鉱山が歴史的に良質なエメラルドの代表的な産地とされ、ザンビアやブラジルでも多く産出されます。古代エジプトでもエメラルド鉱山が採掘されていたと伝えられ、クレオパトラがエメラルドを特に好んだという逸話でも知られています。

真珠 — 貝の中で育つ有機質の宝石

他の宝石と異なり鉱物ではなく、真珠貝やムール貝などの軟体動物の体内で異物を包むように分泌された真珠層(炭酸カルシウム)が幾重にも重なってできる有機質の宝石です。自然にできる天然真珠は非常に希少なため、今日流通する真珠のほとんどは人が意図的に異物を挿入して育てる養殖真珠です。20世紀初頭、日本の御木本幸吉が真珠養殖法を商業化した人物として広く知られています。

オパール — 光の回折で虹色を出す宝石

水を含む二酸化ケイ素でできた宝石で、内部に規則的に並んだ微細なシリカの粒子が光を回折させ、見る角度によってさまざまな色が現れる「遊色効果」が特徴です。世界のオパール産出量の大部分をオーストラリアが占めてきたことで知られ、中でも黒い地に鮮やかな色が浮かぶブラックオパールは特に貴重とされます。

アメシスト(紫水晶) — 鉄分が作る紫色の石英

石英(クォーツ)の一種で、微量の鉄成分と自然放射線の影響によって紫色を帯びる宝石です。ブラジルやウルグアイ、ザンビアなどが主要産地とされ、古くから紫色が貴重とされた時代には王族や聖職者の象徴として使われたという逸話でも知られています。今日では2月の誕生石としても紹介されることが多いです。

ターコイズ(トルコ石) — 銅とアルミニウムが作る空色の宝石

銅とアルミニウムを含むリン酸塩鉱物で、不透明な空色から青緑色まで多様な色合いを見せる宝石です。名前とは異なりトルコが主要産地というわけではなく、ヨーロッパに初めて伝わった経路がトルコを経由していたためこの名前がついたと伝えられています。古代ペルシャやエジプト、北米先住民(ナバホ族、ズニ族など)の装身具文化でも古くから重要な宝石として使われてきました。

ガーネット(柘榴石) — さまざまな色を持つケイ酸塩宝石群

単一の鉱物ではなく、化学組成が似ているものの少しずつ異なる複数のケイ酸塩鉱物をまとめて呼ぶ名前です。種が詰まったザクロの実に似ていることから名付けられたと伝えられ、最もよく知られる色は濃い赤色ですが、組成によって緑色やオレンジ色など多様な色でも産出されます。1月の誕生石として広く紹介されています。

トパーズ(黄玉) — 無色から金色まで多様なケイ酸塩宝石

アルミニウムとフッ素を含むケイ酸塩鉱物で、天然の状態では無色または淡い色をしていることが多い宝石です。市場でよく見かける鮮やかな青色のトパーズは、多くが無色のトパーズを熱処理して発色させたもので、濃いオレンジ色を帯びる「インペリアルトパーズ」は天然の状態でも貴重とされます。11月の誕生石の一つとしても広く知られています。

関連トピックもあわせてチェック

宝石や鉱物の硬さが気になる方はモース硬度計、生まれた月ごとに決まった誕生石が気になる方は誕生石事典もあわせて確認してみてください。

よくある質問

ルビーとサファイアはなぜ同じ鉱物に分類されるのですか?

ルビーとサファイアはどちらも酸化アルミニウムの鉱物であるコランダムに属します。ただし微量に混じる成分によって色が変わり、赤色を帯びればルビー、それ以外の色(青、黄、ピンクなど)を帯びればすべてサファイアと区別するのが一般的な慣例です。

真珠はなぜ他の宝石と性質が違うのですか?

ほとんどの宝石は地中でできる鉱物であるのに対し、真珠は貝などの軟体動物の体内で生物学的に作られる有機質の宝石という点で異なります。そのため真珠は鉱物の分類体系とは別に「有機質宝石」として紹介されることが多いです。