フロムの性格志向性理論とは
ドイツ出身の精神分析学者・社会心理学者エーリッヒ・フロムは、1947年の著書『自我を求める人間(Man for Himself)』の中で、人が世界や他者と関わる根本的な方法を基準に、性格を5つの志向性に分けて説明しました。このうち4つ(受容・搾取・貯蔵・市場志向)は非生産的志向、残る1つ(生産的志向)はフロムが理想と見た志向として区別されます。
一人の人が複数の志向を同時に持つことはありますか
はい。フロムは、これらの志向が純粋な形でただ一つだけ現れるのではなく、一人の中に複数の志向が混じり合い、状況によって異なる形で現れると考えました。生産的志向についても、他の志向を完全に置き換えるものではなく、他の志向が生み出す関係の在り方をより健康的な方向へ統合していく理想的な状態に近いと説明されます。
よくある質問
非生産的志向はすべて悪いものなのですか?
フロムは、これらの志向が極端な形で現れたときに問題になるとしただけで、適度な範囲であれば各志向にもそれなりの肯定的な側面があると説明しました。たとえば貯蔵志向型の慎重さや、市場志向型の柔軟な適応力も、状況によっては強みになり得ます。
この理論はどのような背景から生まれたのですか?
フロムは精神分析だけでなく、社会・経済構造が個人の性格形成に与える影響に強い関心を持っていた学者で、この理論にも資本主義社会の中で人間が自分自身を商品のように扱ってしまう現象(特に市場志向型)への社会批判的な視点が込められています。