フロムの性格志向性5タイプまとめ

世界との関わり方によって分かれる4つの非生産的志向と、1つの生産的志向を見ていきましょう。

受容志向型(非生産的志向)

愛や知識、助けなど自分に必要なものを、自ら生み出すのではなく外部から受け取ることを期待するタイプです。依存的な態度を示し、関係の中で「与えてくれる人」に大きく頼る傾向があるとされます。

搾取志向型(非生産的志向)

欲しいものを自ら作り出すのではなく、力や策略、魅力を使って他者から奪おうとするタイプです。関係を利用の対象として見る傾向があるとされます。

貯蔵志向型(非生産的志向)

安心感を得るために、所有物や感情、考えを外に出すよりも、できる限り蓄えて守ろうとするタイプです。新しいものを受け入れるより、すでに持っているものを守ることに集中する傾向があります。

市場志向型(非生産的志向)

自分の性格そのものを市場でよく売れる商品のように捉え、その時々に求められるイメージに合わせて自分を変えていくタイプです。フロムは、競争的な現代社会の特徴と結びついて現れる志向だと説明しました。

生産的志向型(理想の志向)

フロムが提示した理想の志向で、理性・愛・労働を通じて自分自身の力をありのままに発揮し、他者と対等で主体的な関係を築くタイプです。

フロムの性格志向性理論とは

ドイツ出身の精神分析学者・社会心理学者エーリッヒ・フロムは、1947年の著書『自我を求める人間(Man for Himself)』の中で、人が世界や他者と関わる根本的な方法を基準に、性格を5つの志向性に分けて説明しました。このうち4つ(受容・搾取・貯蔵・市場志向)は非生産的志向、残る1つ(生産的志向)はフロムが理想と見た志向として区別されます。

一人の人が複数の志向を同時に持つことはありますか

はい。フロムは、これらの志向が純粋な形でただ一つだけ現れるのではなく、一人の中に複数の志向が混じり合い、状況によって異なる形で現れると考えました。生産的志向についても、他の志向を完全に置き換えるものではなく、他の志向が生み出す関係の在り方をより健康的な方向へ統合していく理想的な状態に近いと説明されます。

よくある質問

非生産的志向はすべて悪いものなのですか?

フロムは、これらの志向が極端な形で現れたときに問題になるとしただけで、適度な範囲であれば各志向にもそれなりの肯定的な側面があると説明しました。たとえば貯蔵志向型の慎重さや、市場志向型の柔軟な適応力も、状況によっては強みになり得ます。

この理論はどのような背景から生まれたのですか?

フロムは精神分析だけでなく、社会・経済構造が個人の性格形成に与える影響に強い関心を持っていた学者で、この理論にも資本主義社会の中で人間が自分自身を商品のように扱ってしまう現象(特に市場志向型)への社会批判的な視点が込められています。