たった一つの条項が、作品の権利の行方を決める
成果物の著作財産権はクライアントに移転できますが、氏名表示権や作品の改変に異議を唱える権利といった著作者人格権は、契約書の記載内容にかかわらず、多くの国で法律上創作者本人に残ります。この違いを理解しておくことは交渉材料になります。商業利用権をすべて譲渡する代わりに、ポートフォリオ利用の許可や氏名表示を確保するといった交換条件を提案できるからです。
作業を始める前に、細部まで書面化する
「もちろんポートフォリオに載せていいですよ」といった口約束は、トラブルになった際にはほとんど役に立ちません。契約書に署名する前に、権利移転のタイミング、ポートフォリオ利用の例外規定、第三者素材の責任分担を、どちらか一方の思い込みに任せず、契約書そのものに明記しておきましょう。
よくある質問
契約書に著作権に関する条項が一切ない場合、著作権は誰のものになりますか?
ほとんどの法制度では、著作権は実際の創作者に原始的に帰属するとされています。そのため、書面による譲渡合意がなければフリーランス側が著作権を保持し、クライアントは実際に合意した範囲内での利用許諾しか得られない場合が一般的です。ただし国によって解釈は異なるため、重要な案件では現地の法律を確認してください。
著作者人格権は契約で譲渡できますか?
基本的にはできません。著作者人格権は創作者本人に専属する権利とされ、法律上譲渡が認められていないことがほとんどです。実務では、特定の状況下でその権利を行使しないと約束する「不行使特約」を契約に盛り込むことで、実質的に同様の効果を得る方法がよく用いられます。