この理論はどこから生まれたのか
認知的不協和理論は、アメリカの社会心理学者レオン・フェスティンガーが1957年に発表した理論です。人は自分の考え(信念・態度)と行動が互いに矛盾するとき心理的な不快感を覚え、この不快感を解消するために、考えか行動のどちらかを無意識のうちに調整しようとするというのが理論の核心です。社会心理学の中でも最も広く検証され、引用されてきた理論のひとつに数えられます。
なぜ人は自分を納得させやすいのか、日常ではどう表れるか
この理論によれば、不協和を解消する方法として、すでに起きてしまった行動を取り消すよりも、考えのほうを変えるほうが簡単な場合が多いとされます。行動はすでに起きた事実なので変えにくい一方、その行動をどう捉えるか、どんな意味を与えるかは比較的簡単に調整できるためです。そのため人は、自分の選択や行動を正当化する方向に考えを合わせてしまうことが多いと説明されます。ダイエット中に夜食を食べてしまった後「今日くらいは大丈夫」と自分に言い聞かせること、高額な買い物の欠点をつい小さく見積もってしまうこと、応援している政治家やブランドの失敗を目にしたときにかえって強く擁護してしまうことなどが、この心理の日常的な例としてよく挙げられます。
よくある質問
認知的不協和は悪いことなのですか?
認知的不協和そのものは良い悪いの問題ではなく、誰にでも自然に起こる心理現象です。ただし、不協和を解消する過程で事実をゆがめたり、不合理な正当化に流れたりすることがある点には、自分自身で注意を払う必要があります。
報酬が大きいほど態度の変化も大きくなるのではありませんか?
実験結果はその逆でした。報酬が大きいほど行動を正当化する外的な理由が十分にあるため不協和を感じにくくなり、報酬が小さいほど正当化する理由が不足するため、不協和を減らそうとして態度そのものを変える傾向がより強く現れました。