発行主体の違い
ETF(上場投資信託)は資産運用会社が信託の仕組みを使って組成・運用するのに対し、ETN(上場投資証券)は証券会社が直接、無担保で発行します。ETFはファンドという法的な仕組みを通じて複数の投資家の資金を集め、株式や債券などの実物資産を組み入れて運用しますが、ETNは証券会社が特定の指数の収益率を支払うことを約束する派生証券(無保証・無担保の社債に近い形態)です。
信用リスクの違い
ETFは信託財産が別途保管されるため運用会社が破綻しても投資金が保全されますが、ETNは発行証券会社の信用力にそのまま投資金がさらされます。ETFに組み入れられた株式や債券などは資産保管機関(受託銀行)に信託財産として別途保管されるため、資産運用会社が破綻しても、その資産を売却して投資家に払い戻すことができます。一方ETNは発行証券会社の信用で発行された商品のため、発行会社の経営が悪化したり破綻したりすると、元本が戻ってこないリスクがあります。
満期の有無
ETNは1年以上20年以内の満期が定められており満期を迎えると上場廃止になりますが、ETFは原則として満期がありません。ETNは満期が近づくと発行会社が自動的に清算するか再上場の手続きを踏むため、長期保有を考えているならその商品の満期日を事前に確認しておく必要があります。ETFは特別な上場廃止事由がない限り、満期を気にせず取引を続けられます。
トラッキングエラーの違い
ETFは実際の資産を組み入れて運用する過程でトラッキングエラーが発生することがありますが、ETNは発行会社が指数の収益率そのものを保証する仕組みのためトラッキングエラーが相対的に小さくなります。ETFは組入銘柄の売買タイミング、運用報酬、配当再投資のタイミングの違いなどにより、実際の指数と収益率が少しずつずれるトラッキングエラーが生じることがあります。ETNは発行会社が満期時点で指数の収益率分を支払うことを約束する仕組みのため、こうした誤差が構造的に小さいという特徴があります。
流動性供給者(LP)への依存度
ETFとETNのいずれも流動性供給者(LP)が売買気配を提供して取引を円滑にしていますが、取引量が少ないETNほどLPへの依存度が大きくなります。人気の高いETFはLPがいなくても投資家同士の取引だけで十分な流動性がある場合が多いですが、比較的取引量の少ないETNやニッチなETFは、LPの気配提供が止まると希望する価格で売買しづらくなることがあります。
リスクの考え方
どちらの仕組みが一律に安全というわけではありません。ETNはETFにはない発行会社の信用リスクという特有の構造的リスクを一つ抱えているため、投資前には発行会社の信用格付けと、その商品自体の取引量(流動性)を確認しておくことが大切です。