ダンバー数(150人理論)をわかりやすく理解する

項目をクリックして、150という数字がどこから来て、どれほど確かな根拠があるのか確認してみましょう。

  1. 定義

    人が安定して信頼関係を維持できる社会的関係の数には認知的な限界があり、その上限がおよそ150人程度であるとする理論です。

  2. 由来: 霊長類の脳の大きさに関する研究

    イギリスの人類学者ロビン・ダンバーが1990年代に、様々な霊長類の種における新皮質(大脳皮質)の大きさと、その種が形成する社会集団の規模との相関関係を分析した研究からこの数字を導き出しました。彼はこの相関関係を人間に当てはめ、人間の脳の新皮質の大きさをもとに、およそ150人という数値を推定しました。

  3. SNS時代に再び注目された理由

    SNSでは数百人、数千人と「友達」や「フォロワー」の関係を結べるようになったことで、実際に意味のある関係を維持できる人数には限界があるとするダンバー数の概念が、オンライン上の人間関係の限界を説明する枠組みとして改めて注目されるようになりました。

  4. 学界の反論と批判

    2021年、スウェーデンのストックホルム大学の研究チームが、より大きなデータセットと高度な統計手法を用いてダンバーの元の分析を再検証した結果、推定値の信頼区間が非常に広く、150という特定の数字を認知的な限界として断定する根拠は乏しいという結論を発表しました。つまり統計的には100人かもしれないし、250人かもしれないということです。

  5. ダンバー本人による反論

    ロビン・ダンバーはこの批判に対し、その再検証研究には統計的手法の欠陥があり、過去30年にわたる様々な文化圏の実際の観察データが150人前後という数値を裏付けてきたと反論しています。このように、ダンバー数は現在も学界で論争が続いている仮説です。

  6. 実際の活用と注意点

    一部の企業や組織では、部署の規模を設計する際の参考値としてこの数字を活用することもありますが、ダンバー数は厳密に検証された固定値というよりも、「人間関係を維持できる能力には現実的な限界がある」ことを示すおおよその指標として受け止めるのが適切です。

ダンバー数とは?

ダンバー数とは、人間は認知的な制約のために、安定した信頼関係を同時に維持できる人数に限りがあるとする考え方で、その上限がおよそ150人と推定されています。数百人、数千人ともつながれるSNSの時代になった今でも、「本当に意味のある関係とは何か」を考えさせる概念として頻繁に引用されています。

概念を過信せずに活用する

一部の研究者や組織は、この概念を段階的に捉える見方を用いています。ごく親しい関係にあるおよそ5人からなる内側の輪、より広い15人程度の親しい友人の輪、日常的に連絡を取り合うおよそ50人の輪、そして安定した知人関係の外縁としての150人という具合です。このように捉えると、この数字は固定的なルールというよりも、社会的な輪が広がるにつれて個人の関心や信頼が自然に薄れていく様子を考えるための道具になります。チームやコミュニティを作る場面でも、自分自身の交友関係を整理する場面でも、心にとめておく価値のある視点です。

よくある質問

150という数字は正確な値なのですか?

いいえ。2021年にスウェーデンのストックホルム大学の研究チームがダンバーの元の分析を再検証した結果、信頼区間が非常に広く、150を正確な認知的限界として扱うことには無理があるという結論が出ました。ダンバー本人はこの再検証の統計的手法に問題があると反論しており、正確な数値については今も論争が続いています。

SNSのフォロワー数が多い人がいたら、ダンバー数の理論は間違っているということになりますか?

そうではありません。ダンバー数は単に知っている人の数ではなく、互いに信頼し合い、継続的にやり取りする深い関係の数を指しています。SNSのフォロワーが多くても、実際に親密にやり取りする相手はずっと少ない場合がほとんどです。