積立投資 vs 一括投資:比較シミュレーターの仕組み

総投資額と投資期間、想定年利を入力すると、積立投資と一括投資それぞれの最終的な評価額を試算してくれる——この計算機が裏で何をしているのかを解説する。

計算全体を左右する3つの入力値

投資する総額、それを何回(通常は毎月)に分けて積み立てるかという期間、そして一定と仮定した想定年利——この計算機の多くのバージョンが必要とするのは基本的にこの3つの入力値であり、それ以外の数値はすべてここから導かれる。

一括投資:全額が初日から複利で運用される

一括投資の試算結果は、総額全体を想定利率でそのまま期間全体にわたって複利計算したものである。全額が最初から投資され成長にさらされるため、待機中の未投資資金は存在しない。

積立投資:各回の積立額がそれぞれ異なる期間だけ複利で運用される

積立投資の試算では、総額を均等に分割し、各回ごとに投資したと仮定する。最初の回の積立額はほぼ全期間にわたって複利運用されるが、後の回になるほど市場に投入されている期間が短くなり複利効果も小さくなる——計算機はこれらの部分期間ごとの成長分をすべて合算している。

結果は「一定の既知のリターン」を前提としているが、現実の市場はそう動かない

単一の一定の年利を入力するのはあくまで計算を可能にするための単純化であり、実際の市場は不均一に上下する。どちらの戦略の実際の成果も、投資期間中の具体的なリターンの並び順(シーケンス)に大きく左右され、平均値だけでは決まらない。

想定利率がプラスなら、計算上は一括投資が有利になりやすい

一定のプラスのリターンを前提とすると、早く投資したお金ほど複利で増える時間が長くなるため、同じ期間で比較すると一括投資の試算結果は積立投資より高くなるのが通常である。これはこのモデルの数学的な性質であって、どちらを選ぶべきかという投資アドバイスではない。

後悔・リスク許容度・下落局面はモデル化されていない

計算機は各戦略について1つの試算値を出すだけであり、一括投資した直後に暴落が来るという現実的な行動リスクや、分散して投資する心理的な安心感までは捉えられない。期待値としては劣っていても、人々が積立投資を選ぶのにはこうした理由がある。

この結果は「仮定に基づく試算」であり「予測」ではない

計算機は一定の年利を1つ選ぶ必要があるため、その出力は「リターンがこの単純な形で動いたと仮定した場合の、両者の数学的な関係」として読むべきであり、どちらの戦略が実際にいくら儲かるかという予測ではない。想定利率をわずか1〜2ポイント変えるだけでも、比較結果は大きく変わりうる。

現実の意思決定は、純粋な数学だけでは決まらない

長期的には期待値の面で一括投資が有利になりやすいと理解している投資家でも、もともと一括で持っていたわけではない資金については積立投資を選んだり、悪いタイミングで投資してしまう心理的リスクを減らすために積立投資を選んだりすることは多い。この計算機は数学的な差の大きさを把握するために使うのが適切で、意思決定の唯一の根拠にすべきではない。

よくある質問

なぜこの計算機では一括投資の方が有利に出ることが多いのですか?

一定のプラスの利率が期間全体にわたって均等に適用されると仮定しているためで、この前提のもとでは早く投資したお金ほど複利で増える時間が長くなります。実際の市場は滑らかな一定のラインでは動かないため、実際の結果は試算結果とどちらの方向にもずれる可能性があります。

計算機で高い方の結果が出た戦略を必ず選ぶべきですか?

そうとは限りません。この計算機は単純化された前提のもとでの期待値だけを比較しており、リスク許容度や、そのお金が臨時収入なのか継続的な収入なのか、一括投資した直後に下落が来た場合の心理的な反応までは考慮されていません。