クライアント・サーバー方式とP2P(ピアツーピア)の違い

インターネットサービスがデータをやり取りする2つの基本的な方式を比べてみましょう。

クライアント・サーバー方式とは

中央のサーバーがデータを管理し、クライアント(利用者の端末)が必要なときにサーバーへリクエストを送って応答を受け取る方式です。ウェブサイトの閲覧、メール、ほとんどのアプリサービスがこの方式を採用しています。

P2P(ピアツーピア)方式とは

中央のサーバーを持たず、ネットワークに参加する各コンピュータ(ピア)同士が対等な立場で直接データをやり取りする方式です。それぞれのピアは、データを要求するクライアントであると同時に、他のピアにデータを提供するサーバーの役割も担います。

クライアント・サーバー方式の長所

データとアクセス権限を中央で一元的に管理できるため、セキュリティの統制やアップデートがしやすく、サービス提供者がコンテンツやポリシーを明確に管理できます。

クライアント・サーバー方式の短所

利用者が集中するとサーバーがボトルネックになりやすく、サーバーがダウンするとサービス全体が止まってしまう単一障害点(SPOF)の問題があります。

P2P方式の長所

参加者が増えるほど分担できる資源(帯域幅やストレージ)も増えるため拡張性に優れ、特定のサーバーが存在しないため一部がダウンしても全体が止まらない耐障害性があります。

P2P方式の短所

データが複数のピアに分散しているため、中央でコンテンツを統制したり品質を保証したりするのが難しく、著作権侵害ファイルの共有やマルウェアの拡散経路として悪用されることもあります。

代表的な活用例

ウェブ閲覧や動画配信サービスはクライアント・サーバー方式を、BitTorrentのようなファイル共有やブロックチェーンのネットワークはP2P方式を代表的に採用しています。

両方を組み合わせたハイブリッド方式

一部のサービスでは、中央のサーバーが利用者同士を見つけて接続を仲介したうえで、実際のデータのやり取りはピア同士が直接行うハイブリッド方式を採用し、両方式の長所を同時に取り入れています。

多くの日常サービスはどちらか一方の方式に大きく偏っている

私たちが日々使うインターネットサービスの多くはクライアント・サーバー方式を基盤にしています。ウェブサイトを開いたり、メッセージアプリを使ったりするとき、自分の端末は常にどこかのサーバーにリクエストを送り、応答を受け取っています。一方P2P方式は、中央のサーバーがまったくなくてもサービスが成立しうる点でまったく異なる考え方を持っており、ファイル共有やブロックチェーンのように、非中央集権であること自体が目的のサービスで特に力を発揮します。

P2Pの接続がうまくいかないことがある理由

多くの家庭のインターネット環境はNAT(ネットワークアドレス変換)を行うルーターの背後にあるため、ピアの端末はインターネットから直接到達できないのが普通です。これこそが、P2P方式のゲームやビデオ通話がうまく直接つながらないことがある理由です。NATトラバーサルと呼ばれる技術や、直接接続できない場合に中継サーバーを経由させる仕組みは、まさにこの問題を回避するために存在します。

よくある質問

オンラインゲームはクライアント・サーバーとP2Pのどちらですか?

ゲームによって異なります。多くのオンラインゲームは不正行為の防止と判定の一貫性のためにクライアント・サーバー方式を採用していますが、一部の対戦格闘ゲームや古いタイトルではプレイヤーの端末同士を直接つなぐP2P方式が使われることもあります。

P2Pは常に違法な用途で使われるのですか?

そんなことはありません。大容量のソフトウェアパッケージをトレントで素早く配布するといった正当な利用例も多くあり、ブロックチェーンのネットワークや一部の分散ストレージサービスもP2P方式を合法的に活用しています。