中国京劇の基礎知識入門ガイド

華やかな隈取りメイクと切れのある武芸の動きで知られる京劇には、歌・セリフ・演技・立ち回りが融合した独自の役柄体系があります。基本的な概念をまとめました。

京劇の成立

1790年、乾隆帝の80歳を祝うために各地の劇団が北京に集まったことをきっかけに、各地の曲調や演技様式が融合して形成されたとされています。その後およそ200年をかけて独自の総合舞台芸術へと発展しました。

生

男性の主要な役柄群を指します。ひげをたくわえた中年以上の男性を演じる老生、若い男性を演じる小生、武芸に長けた人物を演じる武生などに細分されます。

旦

女性の役柄群で、貞淑な既婚女性を演じる青衣、快活な若い女性を演じる花旦、武芸に長けた女性を演じる武旦などに分かれます。かつては男性俳優が演じていた時代もありました。

浄

華やかな隈取りメイクを施す個性の強い男性役で、将軍や英雄、あるいは奸臣などを演じることが多い役柄です。後述する臉譜のメイクが最も際立つ役柄群です。

丑

鼻の周りに白いおしろいを塗った滑稽な役柄で、庶民や道化役を演じ、劇にユーモアを添えます。出番は少ないものの、観客と直接やり取りするような気の利いたセリフを口にすることが多い役です。

臉譜

浄の役柄が顔に施す華やかな色彩のメイクで、赤は忠誠心、黒は実直さ、白は奸悪さ、金や銀は神秘的な存在を象徴するなど、色によって人物の性格を観客に瞬時に伝えます。

唱・念・做・打の四技

京劇の俳優が身につけるべき4つの基本技で、歌(唱)、セリフ(念)、演技の動作(做)、武芸の動作(打)を指します。この4つをバランスよく習得することが俳優訓練の核心です。

梅蘭芳

20世紀前半を代表する旦の役柄専門の俳優です。繊細な女性演技の新しい流派を確立しただけでなく、海外公演を通じて京劇を世界に紹介し、中国伝統演劇の国際的な地位を大きく高めた人物として知られています。

各地の劇団が融合して生まれた総合芸術

京劇は特定の個人が創始したというより、複数の地方劇の曲調や演技様式が北京で融合しながら形成された総合舞台芸術です。そのため、歌(唱)・セリフ(念)・演技(做)・立ち回り(打)という4つの基本技が均等に求められ、これは他国の伝統演劇ではあまり見られない京劇ならではの特徴とされています。

色で人物を読み解く楽しみ方

京劇を初めて観る観客にとって、臉譜メイクの色は良い手がかりになります。セリフをすべて理解できなくても、顔の色だけで登場人物が忠義の人物なのか奸悪な人物なのかを推し量れるよう設計された、視覚的な約束事だからです。

よくある質問

京劇と中国各地の他の伝統演劇はどう違うのですか?

中国には越劇や川劇など、地域ごとに独自の伝統演劇が存在します。京劇はこうした複数の地方劇の要素が北京に集まって融合して形成されたもので、特定の地域色よりも複数の伝統を融合した総合的な性格を持つ点が異なります。

臉譜の色には決まった規則があるのですか?

完全に固定されたものではありませんが、赤は忠誠心、黒は実直さ、白は奸悪さ、金や銀は神秘的な存在を表すといった広く通用する慣習的な色の象徴が存在します。