性格のメタ特性:安定性と可塑性とは

ビッグファイブの5つの因子は、実は互いに完全に独立しているわけではありません。因子同士の相関関係を分析し直すことで見えてくる2つの上位次元、安定性と可塑性について解説します。このページは心理学者コリン・デヤングらが提唱した性格メタ特性(安定性・可塑性)理論を要約した教育目的のコンテンツです。

安定性

感情的に揺らがず、衝動をコントロールし、社会的な規範や人間関係を安定的に維持しようとする上位の傾向です。

可塑性

新しい経験や刺激に積極的に関わり、探求し、行動を柔軟に変えていこうとする上位の傾向です。

「メタ特性」とは

ビッグファイブの5因子同士が示す相関のパターンを因子分析で再度まとめたときに現れる、5因子よりさらに一段上の性格次元を指す概念です。

別の「ビッグツー」とは異なる概念

この理論の「ビッグツー」は、社会的認知の研究で使われる、同名だが全く別の概念(私たちが他者や集団を「温かさ」と「有能さ」という2つの軸で評価するという理論)と混同しないよう注意が必要です。名前は同じでも、社会的な評価の枠組みと、個人の性格構造を扱う枠組みという、まったく異なる理論です。

ビッグファイブのさらに上に、もう一段階あるのか

ビッグファイブの性格理論は、外向性・神経症傾向・誠実性・協調性・開放性という5つの因子で性格を説明します。しかし複数の研究で、この5因子は互いに完全に独立して動くのではなく、一定のパターンで連動して上下する傾向があることが観察されています。この相関関係を因子分析で再びまとめると、さらに上位の2つの次元が現れ、これを「メタ特性」あるいは「ビッグツー」と呼びます。情緒安定性(神経症傾向の低さ)・誠実性・協調性は、いずれも「目標や規範を安定的に維持しようとする傾向」と関連するため、安定性という1つの上位因子にまとめられます。一方、外向性と開放性は、いずれも「新しい刺激や経験に積極的に飛び込む傾向」と関連するため、可塑性というもう1つの上位因子にまとめられると説明されます。

名前が似ている別の「ビッグツー」と、実際の活用場面

心理学には、社会的な認知の中で私たちが他者や集団をどう評価するかを扱う、まったく別の「ビッグツー」理論(温かさと有能さ)が存在します。名前が同じなのは単なる偶然で、安定性・可塑性のメタ特性は個人の性格因子同士が統計的にどうまとまるかを扱う、全く異なるテーマです。実際にはメタ特性の概念は、主に学術研究で性格構造をよりシンプルに要約したり、組織文化やリーダーシップの研究で幅広い傾向を説明する際の参照枠として活用されています。ただし5つの詳細な因子が持つ情報量に比べ、上位の2次元だけでは個人差を細かく説明するのが難しいという限界も指摘されています。

よくある質問

安定性と可塑性、どちらが良い性格なのですか?

どちらが優れているとは言えません。安定性が高いと人間関係や目標を着実に維持することに強みがあり、可塑性が高いと新しい状況への適応や探索に強みがあるとされ、状況によってそれぞれ異なる強みとして働きます。

自分の安定性・可塑性のスコアはどうすれば分かりますか?

専用の一般公開された検査は多くありません。専用のテストよりも、標準的なビッグファイブ検査の結果をもとに、関連する因子のスコアを組み合わせて研究者が算出する方法で扱われることが多く、気軽に受けられる大衆向けの検査は一般的ではありません。