バッテリー駆動時間はどう計算されるか

基本の計算式自体は単純な割り算ですが、その理論値と実際にバッテリーが持つ時間との間にはいくつかの予測可能な理由による差があります。

基本式:駆動時間(h)= 容量(mAh)÷ 消費電流(mA)

3000mAhのバッテリーが平均300mAを消費する機器を動かす場合、理論上は3000÷300=10時間となりますが、これは現実の損失を考慮していない数字です。

実際に使える容量は表示容量より少ないのが普通

メーカーが表示する容量は特定の試験条件下での数値であり、実際の使用条件とは一致しないことが多いです。表示容量のおよそ70〜85%程度を目安として計算すると、より現実的な見積もりになります。

mAhは電圧が同じ場合にしか単純比較できない

mAh(ミリアンペア時)は時間あたりの電流量であって、エネルギー量そのものではありません。電圧が異なる機器同士をmAhだけで比較すると誤解を招くため、Wh(ワット時 = mAh × 電圧 ÷ 1000)に換算して比較するほうが公平です。

放電電流が大きいほど実質的な容量は目減りする

バッテリーは急速に大電流で放電させると、ゆっくり放電させた場合に比べて取り出せる総エネルギー量がやや減る傾向があり、これはピューカートの法則として知られる現象に近いものです。カメラのフラッシュのように瞬間的に大電流を必要とする機器は、平均電流だけから予想するより早くバッテリーを消耗させることがあります。

劣化と温度も使用可能な容量を左右する

充放電サイクルを繰り返すとバッテリーの容量は徐々に低下し、極端に低温・高温な環境でも表示容量に関係なく一時的に取り出せるエネルギー量が減ることがあります。

理論値がいつも楽観的になる理由

mAhを消費電流(mA)で割るだけの式は、バッテリーを容量が固定された完全に効率的なタンクのように扱っていますが、実際には内部抵抗によるロスや、放電が進むにつれた電圧の低下、負荷が一定ではなく変動することによる影響があります。スマートフォンの消費電流自体も画面オフの待機状態と実際の使用時とで大きく変わるため、「平均mA」という数字自体が、すでに単純化された式の上にさらに近似を重ねたものになっています。

mAhだけで機器同士を比較すると誤解を招く理由

3.7Vで5000mAhのバッテリーと7.4Vで5000mAhのバッテリーでは、エネルギー量は電流容量と電圧の両方で決まるため、実際に蓄えられているエネルギー量には明確な差があります。両方をWhに換算すれば同じ土台で比較できるため、性質の異なる機器同士のバッテリー容量を比べるときは、mAhよりWhのほうが意味のある数字になります。

よくある質問

なぜ計算上の駆動時間より実際の駆動時間のほうが短くなるのですか?

バッテリー内部の効率の低下、放電が進むにつれた電圧低下、消費電流が一定ではなく変動すること、バッテリー自体の劣化など、容量を消費電流で割るだけの基本式には反映されていない要因が実際の駆動時間を縮めているためです。

バッテリーを比較するときはmAhとWh、どちらを見ればいいですか?

電圧が異なる場合はWh(ワット時)のほうが正確な比較になります。Whは電流容量と電圧の両方を反映しているためです。mAhだけの比較は、電圧が同じバッテリーや機器同士に限って意味を持ちます。