アレキシサイミア(失感情症)の3つの特性を徹底解説

感情を感じられないのではなく、それに気づき、言葉にすることが難しい特性です。この記事は概念を紹介する教育目的の内容であり、正式な診断ツールではありません。日常生活に支障を感じる場合は、専門家への相談をおすすめします。

DIF:感情同定の困難

今感じている感情が具体的に何なのかを見分けにくい特性です。特に、感情による身体反応(動悸、息苦しさなど)と感情そのものを区別しにくい場合が多く見られます。気分がおかしいのに悲しみなのか怒りなのか分からない、身体の違和感が感情によるものかどうか気づきにくい、「今どんな気持ち?」と聞かれてもすぐに答えられない、といった様子で現れることがあります。

DDF:感情表現の困難

自分の感情に気づいたとしても、それを言葉にして他人に伝えることを難しく感じる特性です。感情の語彙が乏しく感じられたり、表現しようとすると行き詰まったりする場合が当てはまります。感情を感じても言葉で説明するのが難しい、周囲に自分の気持ちを表現するのが気まずい、感情について話すときに曖昧な表現ばかり繰り返してしまう、といった様子で現れることがあります。

EOT:外的志向思考

自分の内面や感情よりも、出来事の具体的で外的な詳細(事実関係、手順、論理)に主に注意を向ける思考スタイルです。感情的な会話より実用的で事実中心の会話を好む傾向として表れます。感情についての会話より事実や解決策中心の会話を好む、なぜそう感じるかより何をすべきかにまず注目する、内面を見つめる質問をされるとやや落ち着かなく感じる、といった様子で現れることがあります。

アレキシサイミアとは?

アレキシサイミア(Alexithymia)はギリシャ語に由来し、「感情を表す言葉がない」という意味を含む言葉で、1970年代に精神科医ピーター・シフネオス(Peter Sifneos)が初めて提唱した概念です。その後、研究者たちはトロント失感情症尺度(Toronto Alexithymia Scale、TAS-20)を開発し、感情同定困難・感情表現困難・外的志向思考という3つの下位要素でこの特性を測定しています。

特定の疾患の症状なのか?

アレキシサイミアはそれ自体が一つの精神疾患の診断名ではなく、一般集団の中でも程度の差をもって連続的に現れる性格の次元(パーソナリティ・ディメンション)として扱われることが多い概念です。一部の研究では特定の身体化症状、心的外傷後ストレス、自閉スペクトラムなど複数の状態との関連が報告されていますが、これはあくまで相関関係の研究であり、アレキシサイミアがあるからといって必ず特定の疾患があるという意味ではありません。また、感情をまったく感じられないという意味でもなく、感情に気づき言葉にする過程で特に難しさを抱えるという意味に近い概念です。

よくある質問

アレキシサイミアがあると共感能力も低いのですか?

必ずしもそうではありません。アレキシサイミアは「自分自身の」感情に気づき表現することに焦点がある概念であり、他人の感情を理解する共感能力とは区別される別の特性として扱われます。ただし、自分の感情への気づきが難しいと、他人の感情への反応の仕方にも影響しうるという研究もあります。

努力すれば改善しますか?

多くの研究者は、アレキシサイミアを固定された特性ではなく、ある程度変化しうる傾向だと考えています。感情に気づき表現する練習を続けたり、専門的な心理カウンセリングを受けたりすることで改善を経験する例が報告されています。