5Gネットワークスライシングとは?

1つの5Gネットワークを、それぞれ異なる用途向けに調整した複数の仮想ネットワークに切り分ける技術。なぜそれが必要なのかを見ていきましょう。

ネットワークスライシングの基本概念

1つの物理的な5Gネットワークインフラをソフトウェアによって複数の独立した仮想ネットワーク(スライス)に分割し、用途ごとに異なる性能特性とリソースを割り当てる技術です。

5Gを支える3つの中核性能特性

5Gは、超高速(eMBB)、超低遅延・高信頼(URLLC)、超大量接続(mMTC)という3つの異なる性能特性を同時にサポートするよう設計されています。この3つを1つのネットワークで同時に最適化するのは難しいため、スライシングが必要とされています。

どうやって分割しているのか

SDN(ソフトウェア定義ネットワーキング)とNFV(ネットワーク機能仮想化)を基盤に、物理的な設備自体は共有しながらも、各スライスごとに帯域幅・遅延時間・信頼性といったリソースを独立して割り当て、分離しています。

活用事例:自動運転・遠隔手術

ミリ秒単位の遅延が安全に直結する自動運転や遠隔手術のようなサービスには、超低遅延・高信頼のスライスが割り当てられ、他のトラフィックの混雑状況に関係なく安定した性能を保証します。

活用事例:大規模IoT・スマートシティ

無数のセンサーが少量のデータを断続的に送信するスマートシティやスマートファクトリーには超大量接続向けのスライスが割り当てられ、速度よりも同時に接続できる機器の数を優先したリソース配分が可能になります。

活用事例:一般消費者のデータ通信

動画ストリーミングやウェブ閲覧のような一般的な大容量トラフィックには専用の超高速スライスが割り当てられ、先に挙げた特殊用途のスライスとリソースを奪い合うことなく、それぞれの目的に合わせたサービスを提供できます。

通信事業者と企業にとってのメリット

通信事業者は1つの物理インフラだけで多様な業種の顧客に合わせたサービス等級を提供できるようになり、新たな収益源となります。一方、企業顧客は自社サービスに合ったネットワーク性能を、別途インフラを構築することなく利用できます。

5Gで特にスライシングが強調される理由

4Gまでは、ほとんどのサービスが「できるだけ速くデータを送る」という単一の目標を共有していました。しかし5Gは、超高速(eMBB)、超低遅延・高信頼(URLLC)、超大量接続(mMTC)という性質の異なる3つのシナリオを最初から同時にサポートするよう設計されており、この3つを1つの画一的なネットワークで同時に最適化するのは現実的ではありません。ソフトウェアでネットワークを切り分け、各用途に合わせて資源を配分するスライシングが5Gの中核技術の1つとして定着したのは、この理由によるものです。

4Gでもこれは可能だったのか

限定的な優先制御であれば4Gネットワークにも存在していましたが、SDNとNFVを基盤に完全に独立した仮想ネットワークを柔軟に作成・管理する本格的なネットワークスライシングは、5Gのアーキテクチャの中核要素として導入された概念です。特定のトラフィックをときどき優先する4Gと、ネットワーク自体を専用の分離された仮想ネットワークへ切り分ける5Gとの違いは、まさにこの点にあります。

よくある質問

一般の利用者もネットワークスライシングを体感できますか?

自分でスライスを直接選ぶような体験はほとんどありませんが、通信事業者が災害対応網や企業専用網に安定したスライスを割り当てておくことで、一般利用者のデータトラフィックが集中しても、こうした特殊目的のサービスには影響が及ばないという間接的な効果があります。

ネットワークスライシングは4Gでも可能ですか?

限定的な優先制御であれば4Gにも存在していましたが、SDN・NFVを基盤に完全に独立した仮想ネットワークを柔軟に作成・管理する本格的なネットワークスライシングは、5Gの中核アーキテクチャ要素として導入された概念です。